『K教のケモノ』

 私が高校一年生の頃の出来事です。
 十一月に、(その時は知りませんでしたが)K教の舞子教会の娘さんと友達になりました。ですが、彼女との仲は長くはありませんでした。
 
 最後のあの時に、彼女の言った言葉…。

 『あんたの力はすっごい最強やけどすっごい最悪や。おかげでうちらのとこ迷惑がかかってるんや』

 当初、何のことを言ってるのかさっぱりわかりませんでした。
 …それは、出会ってわりとすぐ…私が彼女の家にお邪魔した時のことです。彼女の家はそこそこ大きかったのですが、その門の所に異様に目立つ札が掛かっていました。
 『これって、K教の舞子教会?…?』
 と尋ねると、そうやねん、と自慢気な返答が返って来ました。
 
 家の中に入るとすぐに、大きな祭壇が見えました。
 しかし、同時に見えたものは、大きな灰色のケモノでした。四足を立てて、祭壇の前に横向きにいます。そのケモノは私に反応して、すぐに唸り声を上げました。私はそれに対し、その家を出るまでずっと、私に及ばないようにケモノを抑え続けていたのです。
 
 当時は私自身は霊感が全くないと思っていましたから、この出来事は、
 
 "ただの脳内妄想での出来事"
 と処理されました。
 何故って、霊は肉眼で見えてくるものだと思い込んでいましたから。

 が…。
 彼女はだんだん、ちょっと具合が悪そうに振舞っていました。話をすると、
 
 『ちょっとしんどいから』
 とか返って来たり、

 『今あんたと関わりたくないねん』
 と言われたり…。

 …で、最初に述べた展開へと続くのです。
 そんな理不尽な!と思いましたが、後から考えると仕方のないことだったと思います。あのケモノを放っておけば私に何かしらの危害を加えてきたでしょうし、どっち道、 "妄想の世界は自分で処理!" と思っている私ですからやはり、念でそのものを消したり、飛ばしたりしたでしょう。
 
 その後も、彼女は、まだ付き合いのあった霊感のある私の友人に、「お守り」としてローズクオーツのタンブルを手渡したりしていました。が、その日に、親戚が入院したり、本人も、

 『幽霊をよく見るようになった』

 と私に訴えてきたので、私はローズクオーツに入っている念を握りつぶした上で、彼女に、
 『あの子に返したほうがいいよ』 と言いました。
 以降、友人は霊に悩まされることがなくなり、親戚も退院したというのです。

 彼女の家の宗教に限らず、新興宗教の教会にはこういったケモノなどがほとんど必ず憑いていると思います。近所にこれとは違う新興宗教の教会が新たに建てられましたが、いつ見ても大きな蛇が建物を取り巻いています。

 宗教選びは、慎重にしましょうね。
 本音で違和感のあるか否かで、怪しい所かそうでない所かがわかるはずです。

※この話は、「いずみ」というハンドルネームで『噂の現場』に掲載されたものです。