『足元の祖母』

 今から十年ほど前の正月の事です。
 夜も更けた頃、私はベッドの上で本を読んでいました。

 すると、足元から「何かがいる!」という気配に気が付き、ベッドの足元を見てみました。

 ・・・そこにいたのは、私の父方の祖母(現在も存命)の生霊がいました。
 しかも、ベッドの足元に、喪服姿で正座して、私の顔をじっと覗き込んでいるのです。

 また妄想像が出てきたよ・・・と半分呆れながら、その像をじっと眺めていると、一分もしないうちにスーッと消えました。

 翌朝、1月2日。
 私は、夕べ見た祖母の幻影のことについて、ちょっとした話題として母に話をしました。
 すると、母はびっくりして私にこう言ってきたのです。

 何でも、祖母の親類が年末に亡くなり、実家に戻っている父(当時は存命)も急なことでその人の葬儀に出たのだそうです。もちろん、祖母も一緒に・・・

 父が実家から帰ると、私の部屋に入って「おまえ、ばあちゃんどこで見たんや」と早速話しかけました。
 「ほら、ここだよ」と、私はその場所を指さしました。
 父は、一息ついてから、「もう、そんな事は言うなね、わかったか」と、釘を刺されてしまいました。

 しかし、何故、祖母の生霊が私の元へと現れたのでしょう?
 未だにわかりません。